2010年1月23日土曜日

平成22年を迎えて

『時事一滴』をお読みの皆様、新年明けましておめでとうございます。
 読者の皆様におかれましては、常日頃から、池袋駅周辺のまちづくりを始めとしまして、多方面にわたりご尽力いただいておりますことに対し、この場をお借りいたしまして、厚く御礼申しあげます。本年も、皆様とこうして新年のよろこびを共に分かち合えます事を大変幸せに思っております。
 さて、昨年平成21年の豊島区は、文化庁長官表彰「文化芸術創造都市部門」受賞の喜びに始まりました。それを起爆剤としまして、豊島区の文化政策も随分と浸透し、もともと盛んであった演劇のほか、音楽、絵画、マンガ、にゅー盆踊りなど、色彩豊かでユニークな企画が、多々催されました。私自身、区民ひろばや地域文化創造館などで行われる様々なイベントにも参加いたしましたが、健康増進や、心豊かな生活を送るための各種講座が開かれていたり、日頃の活動の成果が発表されたりと、地域の方々も、身近なところで文化的な活動に取り組み、楽しんでおられます。また、豊島区内には6つの大学があり、これら6大学との連携も、「としまコミュニティ大学」を始めとして、かなり進んでいました。そこでの各大学の特徴を活かした内容を見れば、本区に住んでいることで、多種多様な事柄を学ぶ機会に非常に恵まれているということがよくわかります。ともすれば閉塞感に陥りがちな不況のまちを、商店街の皆さんやボランティアの方、そして若者などの力で盛り立てていこうとする地域の皆様の気概を、大変心強く感じたところです。
 
街並みにも大きな変化が見られました。その幾つかを挙げさせてもらいますと、例えば五十年もの間、池袋東口を華やかに彩ってきた三越百貨店が、惜しまれながら閉店し、その跡地には、大型家電量販店ヤマダ電機がオープンしました。既存の大型店ビックカメラとの間に、熾烈な販売競争が繰り広げられており、東口の空気が変わったように感じられます。また、西口には、駅構内にエチカ池袋、地上にエソラ池袋が、相次いで開業し、消費低迷の昨今に新しい活力を吹き込んでおります。エソラ池袋の記念式典では、ソメイヨシノ桜の観光大使が華を添えてくれました。池袋駅西口地上部分も、緑をコンセプトに様変わりを遂げようと動き出しています。隣の大塚駅では、地元住民の皆様念願の南北自由通路が開通されました。その開通式典も、よさこいと絡めたのが功を奏して、盛況のうちに執り行われましたっけ…。また、その隣の巣鴨駅では商業施設の入る五階建ての駅ビルが開業を控え、さらに駒込駅前にはホテルメッツがオープンしました。
 
一方、新しい庁舎の構想も進んでおります。百年に一度といわれる不況の中で庁舎を建設することは、大変な困難を伴いますが、現庁舎が既に耐久年数を大幅に超えていることの危険性を考えれば、「虎穴に入らずんば虎児を得ず」、デフレの今こそ知恵と勇気を振り絞り、前進してまいりたいですね。ちなみに、新庁舎に関しては、建築家の隈研吾氏らの協力を得る事が出来たとの事です。今第一線で大活躍してくれている隈氏の登場はとっても心強いですし、どのような感性がにじみ出てくるのかがとっても楽しみですね。その斬新な設計とデザインで、私達をアッと言わせてくれる事でしょう。

世界的な大不況もさることながら、世界的な新型インフルエンザの猛威も怖かった1年でしたね。区内の小中学校も、一時は連日学級閉鎖となりました。私達のもとには、かなり頻繁に学級閉鎖の状況説明などを内容とする情報が、ファックスにて届いたりしていました。この点、本区の保健福祉部や教育委員会はよくやっていると思います。このインフルエンザでは、高熱を発して苦しまれた方や、夜を徹しての看病をされた方もおられたことでしょう。今のところ、弱毒性で、落ち着いてきたとはいえ、ウイルスが変異する可能性や、過去の新型インフルエンザでは第二波、第三波があったこともあり、油断は禁物です。どうぞ皆さんお気を付け下さい。

都議会及び衆議院においては、与野党が逆転し、民主党が第一党となりました。政権が代わっても、国や都が直面する課題はそう大きく変わりませんが、現政権の政治が、私たちの暮らしや将来に及ぼす影響を、慎重に見極め、今年の参議院議員選挙では、有権者として答えを出していかなければなりません。特に、最近の国政レベルの選挙は、なんでも「劇場型」と言われ、新聞やテレビそしてラジオなどの媒体からあふれ出てくる情報をただ受け取るだけでの投票行動が目に付き始めました。特に、その傾向は若者に顕著なのではないでしょうか。
 
その若者ですが、1月11日は、成人の日でした。平成の幕開けと共にこの世に生を受け、そして二十年の時を経て、当日成人式を迎えられた皆さんにおかれましては、誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。
「内平らかに外成る」「地平らかに天成る」という、中国の古典に基づいて名づけられた「平成」には、「国の内外にも天地にも平和が達成される」ということへの願いが込められております(確かそのような説明を、額を掲げながら、当時の故小渕恵三内閣官房長官がしてくれたと思いますが…)。成人の日には、「おとなになったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝いはげます日」という意味があります。20歳を迎えた新成人の皆さんには、こういった時代状況の中に生きているおとの認識を噛みしめてもらいたいのは勿論のこと、人間は誰しもが、社会のシステムとそこに働く人々に、その生命を守られ、生活を支えられておりますから、これからは大人として、共に社会を支えていかなければならない義務が生じたことを自覚してもらいたいですし、その一方で、これまでの日々、ご両親、ご家族をはじめ、地域社会や法律などにより、子どもとして大切に守られてきたことに、感謝の念を向けて欲しいと思います。
さてそこで、20歳で生じる権利の一つ、選挙権のことです。申し上げるまでもなく、政治は、有限性の中にあって、地方や国のあり方を決め、進路を方向づけていく人間の営みです。それがあるべきかたちなのか、進むべき方向にあるのかどうかを考えて、推し進めたり、修正したり、異を唱えたりする権利を持つわけです。選挙の際には、新聞がこう書いているとか、テレビでこう言われているとか、友達がこうするからとか、他者からの影響のみでもって審判を下してほしくないですね。必ず投票所に足を運ぶとしても、自分の主義・主張・信念・哲学を一票に託した上で、投票行動をとって欲しいと、本心から思います。それでもまだマダルッコシイとお思いの若者は、25歳ないし30歳になって、立候補することで、自らこの豊島区を、日本を、今一度洗濯してくれればよろしいのです。豊島区の将来のために、ひいては日本のために、粉骨砕身できる方が現れることを望んでおりますし、いつでも同志として迎えます(ただし、政治理念等が同様の方に限られていきますが)。
新成人の諸君!!
二十歳を過ぎるころから、月日の巡りは年々加速していくぞ。
若い時にしかできないこともあるし、若くして才能を開花させる人もいる。
しかし、若い日々の努力や心掛けが報われ、歳をとってから花開く人生もある。
焦ることなく、自分の道を自分の明るさで照らし、着実に歩み続けてくれ。
年を重ねた未来の自分が、平凡で、ごく普通の日々を送っていたとしても、誰かを支え、何かの役にたっているのであれば、その誰かや何かにつながる先に秘められている可能性の大きさは、はかり知れない。
たとえ不遇なことがあったとしても、他人や社会のせいにせず、自ら生き抜こうとする気概を持ち続けて欲しい。
不況の今、負けることなくはばたこうとする君達の溢れるパワーに、大いに期待し、心からの声援を送る。

先行きが不透明な中、今年はいったいどのような年になるのでしょうか。
その期待と不安に胸を膨らませつつ、力強い第一歩を皆さんと共に踏み出していきたいと思います。
本年もまた、私共々、この『時事一滴』にどうぞお付き合いください。