2008年12月26日金曜日

街まもり・街づくり

 今年も残り僅かとなりましたが、名店街ニュースをお読みの皆様方は、いつも年末をどのようにお過ごしになるのでしょうか。
私の方は、今年もほぼ例年通りといった感じでありまして、先ずは、毎年、年末の大晦日前の五日間を通して実施される地元町会の歳末警戒での火の用心活動(主に拍子木打ちを担当してま~す)、そしてお決まりの事務所や自宅の大掃除などに、ほとんど費やされてしまいます(特に、今我が家では男手が足りないんですよね~)。
 さて、この歳末警戒に私が本格的に参加したのは、若干18歳・高校3年生の時でしたが(これ以前、子供向けバージョンがあったのを覚えています)、これ以降ほぼ毎年参加している状況が続いております。ある意味、これへの参加なくしてはカウントダウンが始まらないとも感じておりますし、参加し続けていればいる程、町会という組織の中の人間模様にも、なかなか味わい深いものがあることが分かってきました。
 特に、町会の役員の皆さんから歳末警戒本部(高三会館)に届く差し入れがとても楽しみで、これを肴として飲む熱燗に、思わず舌鼓を打ってしまう参加者も多くいらっしゃいましたっけ。思えば、私が、はじめて、日本酒の熱燗が美味しいかな?と感じたのも、この年末の歳末警戒の場でありました。
 私がまだ大学生の頃に町会活動に参加してくれる役員の皆さんの出身地は、とてもバラエティに富んでおりまして、ある方は北陸地方、ある方は北九州、そしてある方は北海道と言った具合に、ほぼオール・ジャパンと言いますか、ウィングの広さがありました。そういった方々から、その差し入れた商品がお祝い金と共に館内に大々的に張り出されることも手伝って、お国自慢といいますか、お国の特産品と言いますか、私達、特に拍子木うち実行部隊にはめぐってくるのであります。
 その中で、私が毎年楽しみにしていたのが、新島出身の方からの、「くさや」の差し入れでした。このあぶってちぎられたものを肴にしてやる熱燗は、もともとお酒やタバコをたしなまない私にも、美味しいかな?と思うところが極めて大なのであります。最も、その差し入れをしてくれた方は、もう既に他界されてしまいましたので、今はもうくさやで一杯と言う事は滅多にありませんが、今ではとても楽しい思い出となっております。
 こうして一杯やって、体を温めて、寒い夜警に繰り出して行くことを通じて感じたことは、この気忙しい時期に、町会の人達が一体感を持って街を守る、それは極めて尊い営みではあるまいか、と言う事です。
  
 街を守る事も勿論ですが、街を再生していく事も大切です。
 私の地元も、新築された都営住宅や副都心線千川駅・要町駅の開業、そしてこれからのコミュニティバスの運行をキッカケとして、町会の基盤がどのように変遷していくのかが楽しみです。
最も、豊島区はなんと言っても池袋が中心ですから、池袋駅を中心としてその周辺地域の都市再生がとても大事になってくる事は言うまでもありません。ここ数年が勝負とされている、この地域を中心としたエリアに対する都市再生緊急整備地域の指定に、注目と期待が一点に集中すると言うものです。

 平成20年を振り返ってみますと、豊島区それ自体にとって大きな変化の流れを感じた年ではなかったでしょうか。
その一番は何といっても、6月14日の副都心線の開業でしょう。池袋、新宿、渋谷が一つの鉄道で結ばれ、わずか十数分程度で行き来ができるようになったわけですから。
 最初の頃、池袋駅東西のデパート群では、顧客の流出が懸念されましたが、幸いにも、西早稲田や東新宿から、新しいお客様が来店するようになったという話しを聞いています。その一方で、三越池袋店が、平成21年5月をもって50年間続いた営業に幕を下ろし、閉店するというショッキングなニュースがありました。豊島区が「未来戦略推進プラン」という政策に示しております、「文化と品格を誇れる価値あるまち」の実現にあたり、そのあとの活用は非常に重要であり、行政側も頭を悩ますところと言えます。それは池袋・新宿・渋谷を始めとした、都市間競争の激しさを増したことを実感する出来事でもあり、池袋副都心が、これまで以上に「住んでよし、訪れてよし」という街の魅力を発揮する必要性を皆さんが感じたところではないでしょうか。
 池袋駅周辺に対する都市再生緊急整備地域の指定は、こうしたことへの街づくりの手段の一つとして大きく期待されており、この名店街ニュースをお読みの皆さんをはじめ、地元の各種団体からも早期指定の要望が極めて強いものでありましょう。都市再生緊急整備地域ともなりますと、都市計画事業を進めるに当たり、容積の割り増しなどの緩和策があり、公共貢献を伴う民間開発を誘導していくことにもなり、池袋の価値と魅力を、さらに高めるための、創造的なプロジェクトを生み出すことが可能になると言われております。池袋駅から新宿駅方面を眺めて見ますと、白い模様のコクーンタワーと呼ばれるビルが新しく建設されましたが、この建築物も、都市再生緊急整備地域の指定の中で計画されたものです。
 現在、池袋では、池袋駅東西デッキ構想の推進に併せて、周辺地域において、民間による都市開発事業の機運が高まりつつあると思いますので、こうした動向をさらに促進させるためにも、早期に都市再生緊急整備地域の指定が必要です。と言いますのも、そもそもこの根拠規定となる都市再生特別措置法は、平成24年3月までの時限立法なので、早急に民間と行政が総力を結集し、人と環境への優しさをコンセプトとした都市づくりを進め、都心部や臨海部ではなく、新宿や渋谷とも異なる個性を放ち、東京の中での役割をしっかりと果たせる魅力ある池袋副都心を築いていかなければならないのです。

 話が地元の事から池袋の事へと飛躍してしまいましたが、これからも街の皆さんと共に歩んでまいりたいと存じます。ラン・ウィズ・ユー(run・with・you)。今年はこれをもちまして、つたない読み物(?)を終わらせていただきます。この一年、誠に有難う御座いました。
 みな様、良いお年をお迎え下さい。