2014年4月2日水曜日

バイトテロについて≪平成25年9月≫

 SNSが発展しインターネット時代と言われている近年。特に、ツイッターやフェイスブックは得たい情報をリアルタイムで知ることが出来たり、自分の近況を報告することが出来たりと色々と便利になっています。
 しかしその一方で、近頃では、神社の境内で全裸になった画像や、飲食店のアルバイト先での不適切な画像を、今どきの学生が無造作に投稿する「バカッター」と呼ばれる問題が相次いでいます。

 中でも、注目したいのが「バイトテロ」です。
 バイトテロとは、主にツイッターなどで飲食店のアルバイト学生などが不適切な画像を投稿して店の信用を落とす事を言います。しかも深刻な問題として、こういった書き込みを特に問題視していない学生が一部で存在していることでしょう。

 平成25911日付けの日経流通新聞では、いわゆる「バカッター」について特集しています。
 日経流通新聞が楽天リサーチの協力を得て全国の大学生と専門学校生200人に対して、一連の悪ふざけ写真の投稿について調査したところ、4分の3が「あってはならないことだと感じる」と回答。その反面、「面白い」が2%、「騒ぐほどの問題ではない」が9%と、1割以上が容認姿勢を見せました。大半の学生は、書き込みを問題だと感じているのは事実としても、その「1割」に当たる学生が取り返しのつかない結果を引き起こしているようです。
 その例として実際に起きた事件を取り上げたいと思います。
 1つの例としては、ツイッターをめぐる炎上騒動に見舞われた東京都多摩市のそば店「泰尚」です。こちらのお店では、201389日にアルバイトの男性が大型食器洗い機に足を入れて横たわる写真をツイッターに投稿して炎上しました。
 そして、910日時点で店の壁には、「閉店 この度、一部の従業員達(多摩大学学生)による不衛生な行為により営業を停止させて頂く事になりました。皆様には深くおわび申し上げると共に永きに渡りご愛顧頂きまして本当にありがとうございました」という紙が張られ、閉店へと追い込まれてしまいました。

また、この他にも大手ハンバーガーチェーン・バーガーキングの従業員が、床に大量に敷き詰めたバンズの上で寝そべる写真を投稿したり、ピザーラの店員と思われるアルバイト従業員が店内でシンクに入ったり冷蔵庫に入ったりとやりたい放題やっている写真がツイッターやブログなどに掲載され炎上したという事件も起こっています。

 これらの事件の動向を見て、多くの人が「このような写真をインターネットで公開したら非難が集まるのは当たり前なのになぜ?」という感想を漏らしています。
ですが、彼らは非難が集まるなどとは考えていないのではないでしょうか。
まるで仲間内で連絡を取っているような感覚でいて、Twitterは不特定多数の人に公開されていることに気づいていない。つまり、バイト先をクビになるだけでなく、親兄弟や学校等に迷惑がかかったり、場合によっては損害賠償請求を求められたり、などと非常に深刻な問題になるという想像力が及んでいないのかもしれません。これはむしろ、ネット上の騒ぎ以上にモラルやマナーの面で根深い問題がある可能性も考えられます。

 この一連の事件は「スクールカースト」が一因ではないか、とも言われています。
 スクールカーストとは、平成1819年頃にメディアで使われるようになった言葉で、学校内での序列のことです。
 学校ではイケメンやスポーツができる、勉強ができるなどの学生が上位のカーストになりますが、面白い学生も上に行けるとのことです。昔から学校内での序列はありましたが、最近の若者はスクールカーストという言葉ができてしまうほど、仲間内での序列を強く意識せざるを得ない環境にあるのです。

これに加え、スマートフォンの普及でこの現象がさらに可視化したのではないかと思われます。なぜなら、スマートフォンによりネットに画像を投稿する手間が簡略化し、この画像を投稿したらどのような反応が返ってくるかということを考える時間も余裕もないと思われるからです。彼らは、自らを「武勇伝」「若者の元気の発露」等として許容されるべきものと考えているのではないでしょうか。

 まるで連鎖反応のごとく、同種の事件が毎日のように起きている今日この頃。
 もはや、破壊願望ではなく「破壊」、悪ふざけではなく「テロ」、そのように言うしかない現象と感じる人が多くなってきているでしょう。
 一方で、企業側の対応も、ついに「冷蔵庫に入りません」という内容の誓約書を書かせるところまできているそうです。そのようなことは常識でわかるだろう、というような社会や組織の「常識」に訴えることを諦めて、「法律」で対処するというわけです。

 勿論、バイトテロはお店側だけの被害や責任というわけにもいきません。
 同じ職場で一生懸命働いていた人は職を失ってしまったり、そこまでは至らなくても顧客や周囲からの信用を損ねることになります。
 大学生であれば、その大学の品位をも落としたことになるでしょうから、そうした学生には大学側から然るべき措置が取られることは間違いないでしょう。無期停学処分なら甘いもので最悪は除籍にもなるのではないでしょうか。また、学校教育でどのようなことをしているのか。ということにもなりますから他の学生にも多大な迷惑がかかることは間違いありません。
 そしてその一方、消費者側は立て続けに起こるこうした事件に不安を感じ、飲食店の利用を控えるという事態にも繋がりかねません。

 バイトテロの解決に向けた取り組みとしては、アルバイトのモラルやマナーを徹底的に正すしかないでしょうし、人件費をかけても従業員教育を徹底する等、教育体制や仕組みを作る必要があるでしょう。
 SNSの正しい使い方の教育(?)も徹底すべきでしょう。加えて、今後は全従業員から企業コンプライアンスに関する誓約書をとる、または衛生教育などの再徹底などが必要となってくるでしょう。
 夏目漱石さんがツイッターをしていたら……。
「とかくこの世は住みにくい…」(草枕)
 漱石さんのつぶやきが聞こえます。