2014年3月31日月曜日

従軍慰安婦について≪平成23年12月≫

 とうとう韓国ソウルの日本大使館前に、「元慰安婦を象徴する『少女の像』」が設置されてしまいました。その一方では、我が国東京で、霞が関の外務省前で元慰安婦を支援する「日本軍『慰安婦』問題解決全国行動2010」などが集会を開いて「慰安婦問題」を訴え、シュプレヒコールを上げたところ、日の丸を掲げた団体に拡声器などで猛烈に抗議され、終いには、トラブル防止で警備していた警察官ともみ合いになるなど、ものものしい雰囲気が漂ったとの事です。

さて、問題の碑の建立計画は今年に入って本格化したそうです。韓国の設置団体側は、国内の所管の役所などへの働きかけを進め、7月に概要を公表していたとの事です。何でも碑は高さ約120センチの少女の像に空席の椅子が並ぶデザイン。しかもこの碑を「平和の碑」と名付けたそうで、ここを訪れた人に、像を隣に記念写真を撮ってもらいたいと主張しているそうです。

この碑については、韓国の憲法裁判所が今年の夏頃、元慰安婦の賠償請求権をめぐる韓国政府の努力不足を違憲と判断していることや、設置団体側の活動が聖域化していて批判の対象となりにくいことから、韓国政府自身、撤去を働きかけるのは難しいとみるのが一般的です。

それに対して、我が日本の姿勢です。藤村修官房長官は、「在韓日本大使館前に『慰安婦の碑』を建立したことに対して韓国政府に建設中止を申し入れてきたが、建設が強行されたのは誠に残念である」として、引き続き碑の撤去を求めることも含め韓国政府に抗議する考えを、一応は示しています。しかし、同時に、藤村氏は、近じか予定されている李明博大統領の訪日日程について変更はないと言っていますから、野田佳彦首相と李大統領の会談については、あくまで大きなテーマの話をするわけで、野田首相が碑建設問題に対し強い抗議は行わないことになるでしょう。
 そもそも慰安婦の方々のほとんどは、契約に基づいて商売をしていたのであり、さらにその多くは朝鮮側の業者によって集められた女性達です。しかし、宮沢内閣の謝罪と河野談話が決定的根拠となっており、これで韓国は官民ともに、本来ならその大部分が虚構に過ぎない「慰安婦問題」を外交カードとして利用し続けているのが現状であると言って良いでしょう。
 ここのところを、朝鮮総督府の事務官として仕え、当時の実情をよく知る大師堂経慰氏は、この虚構がいかにでっち上げられ、独り歩きを始めたのかを整理して提示したうえで、自身の体験をもとに、次のように記しています。

「婦女子の強制連行がなかったと思う根拠の第一は、もしも婦女子の強制連行があったとすれば、その目撃者は強制連行された者の何倍もいたはずだし、いかに戦時中であっても大きな抗議運動が展開されて当然であるはずだが、目撃証言も抗議運動も一切なかった事実である」「この傍証として、昭和4年の光州事件を取り上げる。日本人中学生が朝鮮人女学生をからかったことが原因で、大規模な学生抗議運動が起こったのである」「からかっただけで学生抗議運動が起こる土地で、婦女子を強制連行したらどうなるか。常識で考えればわかるではないか」
 それにしても、なぜ今頃になって慰安婦の賠償問題が蒸し返されるのでしょうか。
 日本はいかに考え・整理し、対処すべきでしょうか。

まず、歴史的事実として、慰安婦は公権力による動員や強制によるものではなかったわけですから、国家による賠償や補償の対象ではありません。戦前、日本軍が駐屯していた戦地に慰安所があり、慰安婦という女性らが存在していたことは歴史的事実ですが、多くは貧困による「身売り」がその背景にあり、賠償責任が発生する公権力による動員や強制はありませんでした。
また、仮に賠償責任があったとしても1965年の協定で解決しているはずです。1965年、日韓両国が国交を正常化した際、韓国は日本から無償3億ドル、有償2億ドルの資金を受け取っているのです。そのとき両国が締結した「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する協定」第2条の1項で「両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、195198日にサンフランシスコ市で署名された日本国との平和条約第4(a)に規定されるものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」とされています。
さらに、日本統治時代の韓国人らの個人的補償は韓国の国内問題に過ぎません。個人補償金も含めて日本から受け取った無償3億ドル、有償2億ドルの使い道は、韓国が独立国として自主的に決めたのです。当時の日本外貨準備は18億ドルであり、韓国の外貨準備は13千万ドルで貿易赤字が29千万ドルだったから、5億ドルという資金の大きさが分かります。韓国政府はそれを浦項製鉄所、昭陽江多目的ダム、京釜高速道路、農業近代化、中小企業育成などに投入し、韓国政府の計算によると10年間の経済成長寄与率年平均20%、経常収支改善効果年平均8%という輝かしい実績を残しました。
最後に、元慰安婦にもまた徴兵徴用者にも、すでに韓国政府が金銭的支援を実施しています。1990年代初め、朝日新聞の意図的誤報などにより慰安婦問題が日韓の外交懸案に浮上したとき、韓国政府は日本に対して強制性の認定と謝罪を求め、元慰安婦への金銭的支援は韓国政府が行うという姿勢を明確にしています。19936月に制定された「日帝下、日本軍慰安婦に対する生活安定支援法」などにより韓国政府は元慰安婦に対して生活支援金や一時金の支給を行っています。補償の対象から外れてきた元徴用労働者らについても200712月に制定された「太平洋戦争前後の国外強制動員犠牲者など支援に関する法律」で同様の国内支援金が支払われるようになっています。
 もう日本は、「事なかれ」的に謝罪を繰り返し、「慰安婦強制連行」の虚構を放置することはやめるべきです。さもないと、いつまでも謀略勢力につけ込む隙を与えてしまいます。地政学上も大事な日韓関係に軋轢の種を残さない為にも、未来志向の関係にシフトする為にも、虚構の排除策に早急に取り組むべきです。歴史・公民教科書、竹島、従軍慰安婦など等、様々な問題が日韓関係に影響を及ぼしていますが、性根を据えて、粘り強く、事実を摘示し続け、真実と正論を訴え続けるしか打開する道はありません。