2014年3月31日月曜日

支え合い続けるということ≪平成23年8月≫


 
 来月の5日から8日にかけて、ようやく東北の被災地に足を運ぶことが出来ることとなりました。ここ最近になって、「おやっ、まだ被災地に行ってないの?」とか、「支援活動しないの?」とか、色々と言われることが増えてきたところでした。早く行動を起こしたいけど…。

確かに、これまでも職場の方たちが、一人また二人と東北方面に行くことを、傍らでお見送りしているような感じで、私も時間が出来たらボランティアなどで駆けつけたいな……、と感傷的に日々過ごしてきた観がありました。しかし、311後の一連の諸々の周囲の状況を見ていて、未だ動くに動けずといった事情があったのも正直なところです。それがどうやらここにきてやっと被災地の皆さん方を支援・応援に行くことの出来る環境が整ったと言えるのです。

東北方面に向かう……。これだけでは全く焦点があってなくて、一体全体何処に何しに行くんだか、よく分かりませんよね。

確か、4月1日だったでしょうか。岩手県の沿岸部にあります13の市町村が連携して「岩手県沿岸市町村復興期成同盟会」なるものが結成・設立されました。かなりごつごつしたネーミングですね…。なんだかかつての幕末明治期の、会津藩救済のためにできた組織、「奥羽越列藩同盟」を彷彿させますね…。

この復興期成同盟会なるものは、各自治体が個々に行動を起こすよりも、相互に連携・協力し合いながら、災害復旧・復興に向け、国や県に対して、必要な支援を要望する。個別に動くようなことは極力控えることや一致団結・一丸となって動くことで、長期にわたって沿岸市町村が一体となった取り組みを推進しようとの趣旨で立ちあがったものです。具体的には、被災した住民の生活の一日でも早い回復に向け、また、住民生活の安定を図るため、情報提供・市民相談の充実、公共土木施設とライフライン等の早期復旧災害廃棄物の処理教育環境の確保保健・医療・福祉の確保雇用確保及び産業の復興などについて、緊急的かつ優先的に取り組んでいくことがメインです。この同盟会がうまく機能していけば、これからの復旧・復興にもスピード感が増していくというものですね。

岩手県沿岸部にあるいくつかの市町村のなかで、いよいよ足を運ぶことが出来る自治体は「宮古市」「釜石市」「大船渡市」の3つです。主に復旧・復興の進捗状況と、例えば「罹災証明書」の発行業務をはじめとする行政実務、そして仮設住宅が抱える問題など、私たちが首都直下型大震災などに直面した際に取り組まなくてはならない事柄について、これらの自治体から忌憚のないところを聞いて学び取ってこようということです。

また、宮古(95)・釜石(96)・大船渡(96)と南下してくるので、ついでと言っては失礼且つ恐縮ですが、集まった義援金を宮城県の「登米市」(97)に届ける予定です。確かこの日の午後3時でしたか…、登米市長と登米市議会議長と会えることとなりました。

最終日の98日は、いよいよ被災された住民の皆さん、特に子供達と交流ないし意見交換をしてきます。このように言いますと、被災された住民の皆さんが今、今回の震災での行政の対応ぶりや満足度など、どのような気持ちでいるのかの話し合い程度と受け止められてしまいそうですが、今回はちょっと趣向が違います。まだまだメジャーではないものの、「エンジェル・ピース」という組織活動それ自体に関わってくるのが中心です。

このエンジェル・ピースですが、2011311日に東日本大震災が発生した後、「グラウンドワーク三島」というNPO法人が行っている東北の子どもたちへの支援活動を、長期的に継続するために立ち上げられた新たな活動支援組織です。

私自身、阪神大震災の際避難所でボランティアをした経験者の方から、「モノの支援や復興は時間と共に改善されていくが、心の中に閉じ込められた悲しみや苦しみなどは、潜在意識として埋没し、簡単には解消てきない」「これらの傷を癒すためには、人と人とによる、継続的で多様な子どもたちへの心のケア・支援が、最も重要で効果的である」と聞いたことがあります。今後、エンジェル・ピースと題して、東北の子供達を対象にした「心を元気にするショートツアー」を、1万人規模で実施したり、また、多様な支援活動の一環として、「大学生出前寺子屋教室」の開校や「体と心のメディカルチェックツアー」「子どもスポーツ交流」「富士山に登って元気になろうツアー」などを継続的に実施して、子供達に「元気の風」を送り続けることを考えています。実際に、ショートツアーの参加者数は合計264人、大学生出前寺子屋教室の参加者数は、合計112人(被災地の子ども55人、大学生57人)に上っており、いずれも好評を博しています。

「子どもたちが大声で笑うのは久しぶりでした」「震災の日から泣くことを忘れていましたが、皆さんのやさしさに触れて、初めて、涙が止めどなく流れました。これから何とか助け合ってやっていきます」「津波で、家族の写真など、思い出の品は流れてしまったけれど、今回のツアーで新しい家族の思い出を作ることができました」などという感謝の声、そしてツアーの継続を望む声が数多く寄せられたとのことでした。被災地の子供達への長期的な応援は是非とも必要です。ですからこの「エンジェル・ピース」という活動支援組織の立ち上げは誠に時勢にかなったことですし、それに係ることで被災地をいつも支え続けていられると感じ取れます。

また、エンジェル・ピースでは、「心を元気にするショートツアー」の中で子どもたちが描いたイラストのTシャツなどを、「ハート・ブロッサム」シリーズとして企画・販売してます。812日にその販売展示会が開催されている銀座三越に子供を連れて行ってきたのですが、そこで見て感じた事は、確かに子どもたちの絵は、花やハートや虹色の鮮やかな色彩であふれており、大きな困難にも負けず、大輪の花、そして美しいハートを咲かせる!という前向きなメッセージが託されていたということです。私も3枚ばかりTシャツを購入して、我が家に居る時、風呂あがりに着たりしていますが、これを身につけている間、被災地の子供達の元気な心を応援していることを感じているような気がします。と言いますのも「ハート・ブロッサム」シリーズの収益金は全額、被災地の子どもたちのために使われますから…。

自然災害は、将来的にも、海外の国々や地域において起こるでしょうし、すでに起こっています。このエンジェル・ピースは、国境を越えて支援の輪を拡大させ、世界中の子どもたちに元気と勇気の風を送り、困難や障害を乗り越えられる精神力と体力を養成して、明るい地球と地域の未来を担っていってもらいたいと考えている組織です。この運動拠点である「石巻市」にも足を運んでまいります。これからずっと支え続け合いたいですね…。